「春の女神」ギフチョウ。年に一度早春のわずかな間にだけ姿を見せる美しいアゲハチョウの仲間。名前は発見地の岐阜県に由来するが関東、中部から中国地方に分布する。長い冬のあと「蝶の季節」のオープニングを飾るにふさわしい華麗さに地域変異の面白さも加わり、蝶の中でも愛好家の人気が非常に高い種である。一方で平野部の産地は開発や雑木林の荒廃の影響も受けやすい上、その人気の高さから採集圧が強く、絶滅の危機に瀕している産地も多い。生物の保護には個体だけでなく環境をも一体とした保全が必要であるが、その意味でもシンボル的な蝶である。