キリシマミドリシジミ(27)

雌雄、表裏とも文句のない美形である。ゼフの中でも大型で最も光沢の強い♂、大きなＢ斑の♀、裏も他のミドリシジミ類とかけ離れた上に雌雄異型。ゼフを採り始めた頃「珍しいのはヒサマツ、美しいのはキリシマ」と勝手に思っていたが今も同じ気持ちである。ゼフだけでなく「日本産の美麗種」の代表格であることは間違いないだろう。湿潤温暖なアカガシの照葉樹林に生息する南方系のゼフであり、分布は丹沢、箱根、鈴鹿山地から四国、九州、対馬、屋久島といった暖流に近い地域に偏っている。鈴鹿山地は本種の多産地あるが、北陸にはいない山ビルが多く本種の撮影にはいつも悩まされる。対馬や屋久島は♀のＢ斑が大きくさらに美しい。また丹沢や屋久島は尾状突起が短く、地域変異も多彩である。