「ミドリシジミ」の仲間なのに♂でもクロ、しかも蛹まで真っ黒という念の入れようでユニークさでは際だっている。平地性のゼフでクヌギを食すため民家や道沿いなど人里に多く、どこにでもあるような環境で発生しているが生息場所は限られている。関東、信州には産地が多く、近畿を空白に中国地方や九州にも生息する。環境も容姿も地味なせいか発見は遅れて戦後の1948年。古い高木で発生するため成虫の採集は難しく撮影はなおさらである。♂の色は「クロ」というが独特の光沢のある赤銅色で、そのユニークさや珍しさ、採集の難度もあって渋い人気がある。大型で直線的なキレのある翅型、♀の裏の大きな赤班など、この蝶の魅力は決して♂の翅表だけではない。