北海道と中部山岳の限られた地域にのみ生息するタテハチョウ科の高山蝶。その美しさと風格は稀少価値とも相まって愛好家の憧れであり、子供の頃に本種を知った図鑑にも「垂涎の的」という表現がしてあった。この意味を父に尋ねて以来、いつかは自分でもこのチョウを手にしたいと思い続けていたが、高校2年で初めて島々谷で採った時のことは昨日のように思い出される。特別保護区の上高地には梓川沿いに何カ所か生息地があり、今では毎年のように撮影しているが、それでも1年ぶりに会いに行く時の胸の高まりは何年経っても変わらない。♀はより大型で白帯も太く迫力満点であるが、吸水によく降りてくる♂に比べ遭遇することが難しい。