東北のごく一部、信州、九州の阿蘇の3カ所にのみ生息していた大きく美しいブルー系のシジミチョウ。食草のクララは火山性草原や田の畦、堤防に見られるが、このような環境は開発や荒廃の影響を受けやすく、衰退著しい代表種である。既に東北地方では絶滅、信州でも激減し、現在は安曇野と佐久では環境も含めた保護活動が行われており、自然状態でのまとまった生息地は阿蘇のみである。大きく派手な装いはよく目立ち、採集者にも人気があり幼虫採集も簡単なので環境だけでなく採集圧も大きな問題である。上高地へ乗ったタクシーの運転手が「子供の頃は5月から6月になると田圃のあちこちでモンシロチョウより少し小さいぐらいの青いチョウがたくさん飛んでいた。今は見ないのだがどこに行ったのか?」と聞かれたが本種のことだろう。紹介する写真も環境ごと保護されている場所で撮らせて頂いたものである。